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このページは定期更新型ネットゲーム「FALSE ISLAND」に参加しているEno.1551の中の人がいろいろとぼやく場所です。わからない人は回避で。
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3-2、
 どうしようもなかった。

あまりに突然のことで、なにがなんだかわからなかった。

 ミリアがなにか叫んだ気がして、なんだろうと思い後ろを振り返った。

 そこに、ヤツがいた。

 ブラックドラゴン=フェルツァ。

 “恐怖(フェルツァ)”を名前に冠する漆黒のドラゴン。

 そのとき僕が抱いたのは、間違いなく恐怖だった。

 黒いドラゴンは、大きく口を歪めてほくそ笑んでいた。

 歪めた口で僕らに言い放った。

「遊ビハ終ワリダ。失セロ、弱者ヨ」

 どうしようもなかった。

 恐怖が放つ黒い火の玉は、避けようがなかった。

 それ以上に、

 僕の背中から飛び出すミリアを、止めようがなかった。

 最後の瞬間、ミリアはまるで僕を庇うように、ひとり黒い火の玉に向かって飛びすがり、その身を盾として、

「防護光壁(レイウォール)!!」

 そんな技が、いったいどれくらい役に立ったのだろう。

 ミリアの小さな身体は炎の中へとあっけなく消えていった。

 

 

 

 雨。

 気付いた時には草が生い茂るだだっ広い平原の只中、降りしきる雨に身を打たれながら地面に突っ伏していた。

意識を取り戻す。しかし、頭が正常に働かない。ディーノは自分の身になにが起きたのかがしばらく分からずにいた。

 背中で叫ぶミリア。背後にいた黒いドラゴン。浮かべられたほくそ笑み。迫る黒炎球。僕の背中からミリアが飛び出して。炎の中に消え。爆発。自分の身体は爆風に軽々と吹き飛ばされて。

「    !」

 すべてを鮮明に思い出し、ディーノは弾かれたように飛び立った。ミリアの姿を探して。

 大丈夫。そんなに遠くまでは飛ばされてはいないはずだ。

 自分が飛ばされてきたと思しき方角に低空で飛びながら、ディーノは周辺を注意深く探った。果たして、ミリアの姿はすぐに見つかった。

 いよいよもって強く降り出した雨の中、ミリアはその身を大地に横たえていた。

 ブラックドラゴンの姿はすでにそこにはなかった。

「ミリアーーーーーーーッ!!!」

 傍に降り立ち声を掛けるディーノ。しかし、ミリアは微動だにしない。

 落ち着け。落ち着くんだ。ミリアは死んでなんかいない。

なにをする。まずなにをすればいい。

とにかく、味方のところまで運ぼう。自分に出来ることはそれくらいしかない。

そう判断し、その前にディーノはミリアの鼻先に耳を近づけた。

空気が、動いた気がする。息をしている? ダメだ、小さすぎてわからない。

そのまま耳を、今度はミリアの胸元に置いた。

彼女が着ている甲冑が邪魔だった。胸の上下動がその下に隠れてしまってわかりづらい。まわりの雨音も鬱陶しかった。

それでも、なんとか聞くことができた。

 

 ……トクン……トクン……トクン……トクン……

 

 ミリアの鼓動。

 よし、大丈夫だ! ちゃんと心臓は動いてる。後はミリアを……。

 

 ……トクン……トクン……トクン……トクン……

 

 耳が離れなかった。

 あたりを賑わす雨音はすでにディーノの耳には入ってこない。降りしきる雨の中、ディーノはひとり、その音に聞き入った。

 

 ……トクン……トクン……トクン……トクン……

 

 聞き覚えのある懐かしい音。

いつの事だっただろう。

この音に揺られながら、鼻歌を歌っていたのは。

いつの事だっただろう。

この音と共にもたらされる、あの暖かさに身を任せていたのは。


↓NEXT Dragonballade chapter4-1
http://damennzwalker.blog.shinobi.jp/Entry/16/

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